ドラクエとの出会い。ゲーム人生の始まり。

子供の頃、インベーダーブームというものがあった。信じられないくらい友達が嵌っていた。何が信じられないかって、1回100円のゲームを1日に何十回もやる財力があるのが信じられなかった。

僕の当時(小学生)のお小遣いは1日100円だった。これは決して少ない金額じゃなかったと思う。

彼らはいろんな手を駆使しておじいちゃんやらおばあちゃんから金を巻き上げていたようだった。

そんな彼らを僕は冷ややかな目で見てた。パックマンゼビウスクレイジークライマーもどこが面白いのか理解できなかった。友達が行きたがるので仕方なくゲーセンには行くが、何もする事がなくぼんやりと人のプレイを見ているだけの日々。退屈だが、他にする事も思いつかなかった。

中学3年の頃に麻雀を覚えた。トランプ感覚だ。別にお金をかけていた訳じゃない。

高校生になってもよく麻雀はやった。そして大学に入っても。

麻雀というのは4人でやるゲームだ。しかし、4人という人数は意外と集まりにくい。やりたいと思うときにやれないのが麻雀というゲームの辛い所だ。

大学4年の夏休みに無性に麻雀をやりたくなった僕は、近所の西友ファミコンと麻雀のソフトを買った。

二日で飽きた。1対1だからなのか、アルゴリズムが馬鹿だからなのか、配牌やツモが偏りすぎていたからか。良くわからないけど、リアルじゃなかった。

仕方がないので卒研を進めようと大学の研究室に行ったら、友人がいた。

その友人がファミコンを持っているのを知っていた僕は「面白いファミコンソフト貸してくれよ」と言った。

翌日、彼はカセットを持ってきてくれた。箱も取り説もなかった。裸のむきだしのカセットだ。

それが、国民的超有名RPGドラクエの第1作目だと、僕は少し後で知る事になる。

とりあえず、カセットを持って家に帰り、ファミコンの電源を入れてみる。すぎやまこういち作曲の有名なオープニングテーマが流れる。王様の話を聞いたら冒険のスタートだ。

最初はスライムとの戦闘。これは余裕だ。HPが減ってきたら宿屋に戻るのを繰り返していくとレベルが上がってどんどん強くなっていく。

ある程度強くなったら次の町へ拠点を移してさらに強い敵がいる場所を冒険する。

何の知識もない僕でも、知らないうちにストーリーに乗せられてる。迷いようがない。さすがドラクエ

でも、そんな日本一親切設計と言われる国民的ゲームで僕は行き詰る事になる。

理由の一つ目は、RPGゲーム初心者であったこと。二つ目は、取り説を読まなかったこと(正確には手元になかったので読めなかったこと)。

僕は武器や防具を装備するという概念を知らなかった。そのため、無装備でモンスターを殴り殺していた。

それから呪文も使い方がわからなかった。ギラは戦闘中に使ったら敵にダメージを与えたので効果をすぐ理解したが、初めてホイミを唱えたときHP満タン状態だったらしく何も起こらなかったため、効果不明の呪文として使うことを封印してしまったのだ。

いくら初心者にも優しいドラクエシリーズといえ、武器・防具装備不可、回復呪文使用不可なんて、ドMな縛りを想定したゲームバランスであるはずもなく、戦況は次第に厳しいものとなっていく。

マイラの村の南にある沼地の洞窟。ここは一歩入れば真っ暗だ。この辺は昨今のゲーム程親切設計ではないので、一歩ずつマッピングしていかないといけない。根気のいる作業だ。さらに、この洞窟の中に出てくるモンスターは結構強い。

少しマッピングしては、町に戻って宿屋でHPを回復させて・・・、なんて事を繰り返していたが全然進まない。アカン。もう誰かタスケテ!

とうとう僕は近所の本屋に攻略本を買いに行った。そして、家に帰ってからしばらく攻略本に見入ってしまった。

  • そうか!武器と防具は装備しなきゃいけないのか!
  • ダメ呪文だと思っていたホイミは、本当はHPを回復してくれる超絶便利呪文だったのか!
  • 「くさりかたびら」って鎧の名前だったんだ!


そうして僕は、その時点で手に入る一番いい武器と防具を購入・装備して再度沼地の洞窟にチャレンジを開始した。レベルは十分上がっていたし、武器・防具で能力底上げされてるし、何よりホイミで長旅が出来る。

その後の冒険は順調だった。

竜王の「世界の半分をくれてやる」という話に、「え!?そういう展開もあるの?」と、つい承諾してしまったけど、そんな展開は用意されてなかった。

でもいい、僕は世界と王女を救ったのだ。

後に、王女を救った後、城に戻る前に宿屋に泊まると「ゆうべはおたのしみでしたね」という素敵なコメントを聞けると知ったが、それはカセットを友人に返した後であり、試すことができなかった。そこだけはヒジョーに残念だった。

そんな風に僕はドラクエと出会い、以後、比較的ヘビーなゲーマーになった。